医療現場で活躍しているアミノ酸

その他のアミノ酸

アミノ酸と聞いて何をイメージされますか?

食べ物を思い浮かべる方もいるかも知れませんし、最近注目されているスポーツ系のサプリメントやスポーツ系のドリンクを思い浮かべる方も多いかも知れません。

アミノ酸は、医療現場でも大いに活躍しています。そこで、医薬品の原料にも使われているアミノ酸をいくつかピック・アップしてご紹介したいと思います。

「システイン」の作用や働き

まずは、化粧品の美白成分としても有名な「システイン」から見てみることにしましょう。

システインは非必須アミノ酸の一種になります。

システインは、元はシスチンというシステインが2つ結合したアミノ酸ですが、体内で2つにわけられてシステインになります。そして、さまざまな成分と結びついて活躍をするアミノ酸になります。

システインが足りなくなってしまうと、皮膚炎やシミが発生してしまったり、爪が割れやすくなってしまったり、髪が抜け落ちてしまうようになったりします。また、解毒作用が低くなってしまうようになります。

システインは、「美白」、「二日酔い」などの医薬品の材料として使われています。

まずは、体内でどんな成分と結びついてどんな働きをしているか見てみることにしましょう。

「システイン」+「ビタミンC」

システインは体内で「ビタミンC」と結びつくことで、必要以上にメラニンが生成されるのを抑える働きをします。肌の代謝を正常にする作用があります。そして、肌に沈着してしまった黒色メラニンを薄くする作用があります。

「システイン」+「テアニン」

緑茶や紅茶などに含まれている成分「テアニン」と一緒に摂取すると、風邪やインフルエンザなどを防止する作用が発揮されます。

「システイン」+「メチオニン」

必須アミノ酸の1種である「メチオニン」と結びつくことで、アレルギーの原因となっている「ヒスタミン」の血液中の濃度を下げる作用や、血液中のコレステロールが増えてしまうのを抑制する作用が増えてしまうのを抑制する作用があります。そのため肝機能アップの作用があります。

システインは、他にも次のような作用や働きを行なっています。

抗酸化作用

システインには活性酸素の生成を抑えて活性酸素除去する作用があります。これによってアンチエイジング効果やアレルギーの改善作用が期待出来ます。

コラーゲンの生成作用

コラーゲンの生成作用がシステインにはあります。そのため、肌のハリや柔らかさを保つことが出来ます。

代謝を促す作用

システインには、代謝を促す作用があります。代謝が促されることで、エネルギー不足が解消され疲労感などが軽減されるようになります。

二日酔いの改善作用

二日酔いの原因であるアセトアルデヒドと呼ばれている有害物質に対してシステインは直接作用して無毒化します。また、肝臓内でアルコールを分解する作用のある酵素のサポートも行ないます。こうした働きによって、システインは二日酔いの症状である頭痛や吐き気などを改善することが可能です。

育毛促進作用

システインはケラチンを構成する主な成分になります。そのため、毛髪を健康に保つために欠くことの出来ない成分になります。

システインには育毛を促進する効果は期待出来るそうですが、抜け毛予防の効果は認められていないそうです。

最後に発見されたアミノ酸「スレオニン」

次に、タンパク質を構成しているアミノ酸の中では最後に発見された「スレオニン」について見てましょう。

スレオニンは必須アミノ酸のひとつになります。スレオニンは他のアミノ酸に比べてあまり馴染みのないアミノ酸ですが、糖原性という特徴があるためグルコースの材料になってエネルギー源となっています。スレオニンが足りなくなってしまうと、食欲不振や貧血、体重の減少などが起こってしまいます。

現在、スレオニンは低たんぱく質血症、低栄養状態、手術前後のアミノ酸を補うために静脈注射、点滴、あるいは経口摂取する医薬品をして使用されています。また、「脂肪肝」の薬の原料として利用されています。

スレオニンには、次のような作用や働きがあります。

新しい細胞の生成および成長促進作用

スレオニンは、成長をコントロールする因子として機能があります。新陳代謝を促すことで新しい細胞を生成したり、細胞の成長を促したりする作用があります。

肝臓への脂肪蓄積防止作用

スレオニンには肝臓の代謝を促して、肝臓に脂肪が溜まるのを防ぐ作用があります。肝臓に脂肪が蓄積されてしまうことによって起こってしまう肝機能障害を引き起こしてしまう脂肪肝の予防につながります。

コラーゲンの生成作用

体内でコラーゲンが生成されるときの材料としての役割がスレオニンにはあります。コラーゲンは、美肌作りに関係しているだけでなく、骨や関節の生成や修復にも大きく関係するものです。そのため、美容面だけではなく、身体の健康にも関わっていることになります。

胃炎改善作用

スレオニンは胃酸の分泌のバランスを調整する働きがあるため、食べ過ぎや飲み過ぎ、アレルギーなどによって引き起こされてしまう胃炎を予防する効果があります。また、食欲を増進させる作用もあります。

また、スレオニンは、家畜の飼料の栄養補給材料として使用されているケースが多くなって来ています。家畜の飼料として穀物が使われていますが、穀物だけではアミノ酸が不足してしまうことになります。アミノ酸不足を補うために飼料へ必須アミノ酸を加えることは、1950年代から行なわれていましたが、1987年からリジンに加えてスレオニンが加えられことでアミノ酸不足が大幅に改善されることになりました。

神経伝達に関わる「チロシン」

それでは、次に神経伝達物質の原料ともなる「チロシン」の特徴などについて見てみることにしましょう。

チロシンは非必須アミノ酸の1種になります。チロシンは、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどに代表される神経伝達物質の原料として利用されます。また、チロシンは甲状腺ホルモン、メラニン色素の原料にもなります。

チロシンが欠乏してしまうと、甲状腺ホルモンや脳内で働く神経伝達物質の分泌が少なくなってしまうため、代謝活動が衰えてしまったり、うつ状態を起こしてしまったりする可能性があります。メラニン色素が作られなくなってしまうことで、白髪の原因にもなってしまいます。

また、チロシンは、成長を促進する甲状腺ホルモンの原料としての役割もありますので、乳幼児においては、発達障害や成長障害を招いてしまう可能性があります。

チロシンは抗うつ剤に代わるものとして注目を集めています。

チロシンには次のような作用や働きがあります。

うつ状態の緩和改善作用

脳の神経伝達物質であるドーパミンや、ノルアドレナリンの原料としてチロシンは使用されます。脳内でのドーパミンやノンアドレナリンの不足によって無気力や無関心な状態を招いてしまい、その結果うつ病になってしまうと言われています。

ドーパミンやノルアドレナリンの前駆物質にチロシンがなっているだけでなく、うつ状態になってしまうと脳内のチロシンの量が低くなってしまうことも分かっているため、チロシンはうつ状態を改善する作用があると考えられています。

集中力アップ

脳内のドーパミンやノルアドレナリンが足りなくなってしまうと、物事に対する関心や意欲が少なくなってしまい、集中力も下がってしまうようになります。

そのため、脳の働きを活発にするドーパミンやノルアドレナリンの前駆体であるチロシンには、集中力をアップする作用があります。

ストレス軽減作用

チロシンには、ストレスや疲労を軽減する作用があると考えられています。

強いストレスの下では、アドレナリンやノルアドレナリンを多く使ってしまうことになります。そのため、ほんの小さなことに対して攻撃的に対応してしまうことになります。

チロシンには、アドレナリンやノルアドレナリンの分泌を調節することによって、ストレスを軽減する作用があります。

軍隊での訓練の際に、チロシンを摂取した兵士の方が、チロシンを摂取していない兵士よりもストレスに対する抵抗力が高かったという研究データもあります。

慢性疲労症候群の改善作用

慢性疲労症候群の改善作用もチロシンにあることが分かっています。

何らかの精神的・身体的な原因がある訳でもないのに、激しい疲れが長い期間にわたって現れてしまう状態を言います。生活環境によるストレスなどが原因として考えられています。

チロシンによって神経伝達物質を産生することによって脳の活動を活性化することによって、改善することが期待出来ます。

白髪を防ぐ作用

体内でメラニン色素を生成する材料としてチロシンは使われますので、黒髪を生成されることで白髪の生成が防がれます。

メラニン色素の働きとして、紫外線のダメージからDNAを守るという役割があります。DNAが紫外線などで傷つけられてしまうと、ガンなどの重篤な病気を引き起こしてしまうことになりかねません。黒髪はこうしたダメージから頭皮を守っているとも言えます。

「バリン」、「ロイシン」、「イソロイシン」

「バリン」、「ロイシン」、「イソロイシン」は、BCAAとしてスポーツの分野で注目を集めていますので、コンビニエンスストアやドラッグストアで手軽に購入出来るサプリメントとして多くの方がご存知だと思います。

これらのアミノ酸は、枝分かれをしているような分子構造をしているため、BCAA (Branched Chain Amino Acid「分岐鎖アミノ酸」)と呼ばれています。バリン、ロイシン、イソロイシン共に必須アミノ酸に分類されていますので、食事などから摂取することが必要なアミノ酸になります。

また、BCAAは母体の母乳の産生を促し、新生児が母乳を摂取することによって生存率がアップし健やかな成長の促進に寄与します。赤ちゃんが健康に生育するために貢献する栄養素で、これは人間だけでなく他の哺乳動物にも共通した働きになります。

BCAAは、肝不全の患者さんへのアミノ酸製剤として使われています。

BCAAには次のような作用があります。

エネルギー産生作用

スポーツを行なう際にはエネルギーが必要になりますが、そのエネルギー源となるものは「糖分」、「脂質」、「アミノ酸」になります。BCAAはスポーツを行なう際のエネルギー源になります。スポーツを行なう前にBCAAを摂取することで、エネルギーが生成され持久力を維持することが可能になります。

また、スポーツ中、脂質をエネルギーに変換する際のサポート役としてBCAAは必要な成分になります。

疲労回復作用

BCAAは疲労の原因物質である乳酸をクエン酸に変換する「クエン酸回路」のシステムにおいて欠くことの出来ない成分になっています。

そのため、BCAAが十分にあることで、クエン酸回路がスムーズに行われ、乳酸がクエン酸に変換され疲労回復作用が行なわれることになります。

筋肉の生成および維持

人間の筋肉タンパク質の内およそ35%をBCAAが占めています。そのため、筋肉を生成する上で大変重要なアミノ酸になります。

BCAAにはタンパク質の生成を促進して、筋肉が減ってしまうのを抑制する作用があります。スポーツの後の傷ついた筋肉の修復にはBCAAが効果的に作用することが認められています。

肝硬変による栄養代謝異常の改善

肝硬変に罹患してしまうと、安静時にも多くのエネルギーを消費してしまう状態になってしまい、そのため肝臓が常にエネルギーが足りない状態になってしまいます。加えて、肝臓で糖質をエネルギーに変換する能力が低くなってしまっていますので、エネルギー不足は更に深刻な状態になってしまうことになります。

肝硬変患者の血液中アミノ酸比率は、BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)が減少してしまいAAA(フェニルアラニン・チロシン)の比率が増加した状態になってしまいます。

BCAAは筋肉で代謝されてアンモニアを解毒すると共に肝臓のエネルギー源にもなるアミノ酸になります。そのため、BCAAを積極的に摂取することで、AAAが減少しBCAAが増加することによって血液中のアミノ酸バランスが整えられて、肝臓のエネルギーを補給することが可能になります。

肝臓のエネルギー不足が解消されることで、肝臓でアルブミンが多量に生成されるようになり肝硬変の予後を改善することが可能になります。

医療現場で活躍しているアミノ酸をピック・アップしてご紹介して来ましたが、今後アミノ酸の研究が進むにつれて更に医薬品として沢山のアミノ酸が利用されるようになるのではないでしょうか?

また、ご存知の方も多いとは思いますが、手術中や手術後に使用される輸液には、アミノ酸、糖分、ミネラル、ビタミン、脂質が配合されていて、術後の体力回復や傷の回復に大きく貢献しています。

こうしたアミノ酸輸液が医療現場において広く利用されるようになったのは1950年代になります。その後1960年代には、輸液だけで栄養補給が可能な「完全静脈栄養法」が確立されて、医学は飛躍的に進歩したと言われています。

現在では、アミノ酸は栄養補給としてだけでなく、今回ご紹介したように病気の治療にも多く利用されるようになって来ました。

医療現場でもアミノ酸は広く利用されていますので、普段の生活の中で不足しているアミノ酸の補給を積極的に心がけることは、健康を維持して生活の質を上げるためには、かなり有効な方法と言えるのではないでしょうか?

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