肝臓をサポートするオルニチンは元気の源

その他のアミノ酸

しじみに沢山含まれている成分として有名な「オルニチン」ですが、体内でオルニチンは大変重要な働きをしています。
どんな働きをしているのか探ってみることにしましょう。

オルニチンとは?

まずは、オルニチンとはどういう成分なのか見てみることにしましょう。

オルニチンは「遊離アミノ酸」と呼ばれているアミノ酸になります。遊離アミノ酸は、タンパク質を構成アミノ酸ではなく、血液に溶け込んで体内を循環しています。遊離アミノ酸はそれぞれのアミノ酸の役割を果たすために機動するアミノ酸と言えます。

遊離アミノ酸には、体内のアミノ酸の過不足を調整する役割があります。不足しているアミノ酸がある時にはそのアミノ酸に変化することで充足し、アミノ酸が過剰になってしまった時には放出されてしまいます。

1日当たりの摂取目安量は500mg~1000mgと言われています。しじみ、チーズ、ヒラメなどに含まれていますが、食品から必要摂取量を摂取するとなるとかなりの量が必要になってきます。オルニチンの含有量が最も多いしじみでも100gあたりの含有量は10mg~15mgですので、食事から摂取するのは厳しいのではないでしょうか?

日本では、古くから「二日酔いにはしじみ汁」と言われていますので、しじみを食する習慣がありました。また、しじみの醤油漬けは台湾ではポピュラーな料理としてあります。
台湾でも日本と同様にしじみの健康に対する効果や作用は広く知られていたのではないかと思われます。

また、しじみは漢方薬としても使用されています。中国の明の時代に李時珍によって著された52巻からなる本草書である『本草綱目』(刊行1596年頃)の中では、「しじみは酒毒、黄道を解し、目を明らかにし、小便を利し、脚気、熱気、湿毒を下す」と記されています。つまり、悪酔いや二日酔い防止、利尿作用、解毒作用、視力アップ等に効果があることが分かっていたことになります。

先人達が経験を通して知っていた作用や効果を、技術の進歩によって確認することが出来るのは、何とも感慨深いものがあるように思えます。

オルニチンの働き

それでは、オルニチンは体内でどんな働きをしているのでしょうか?

主な働きとして、尿素回路(オルニチン回路)での働きがあります。このサイクルは体内で発生したアンモニアを無毒化するために行なわれているサイクルで、肝臓で行なわれています。
まずは、尿素回路(オルニチン回路)でのオルニチンの役割や働きについて見てみることにしましょう。

アンモニアは、主に食物として取り入れたタンパク質を腸内で分解する時に小腸や大腸の腸管で発生します。腸管で発生したアンモニアは肝臓に運ばれて来ます。そして、肝臓にある尿素回路(オルニチン回路)で、無毒化されるための処理が行なわれることになります。

尿素回路(オルニチン回路)に運ばれて来たアンモニアは二酸化炭素と結びついてカルバミルリン酸に変化します、そしてこのカルバミルリン酸にオルニチンが作用することによってシトルリンに変化します。そしてシトルリンはアルギニンに変化し、アルギニンは尿素とオルニチンに変化することになります。このサイクルは回る輪のように繰り返し行われ続けます。

オルニチンはこの尿素回路(オルニチン回路)の活動を活性化することによって、ミトコンドリアの働きをサポートして、肝臓全体の本来の機能を保つようにサポートしていると考えれています。

この尿素回路(オルニチン回路)の中で、シトルリンがアルギニンに変化する際に一酸化窒素(NO)が生成されて放出されています。体内で生成される一酸化窒素(NO)の働きには、血管の拡張作用があることから大変注目されています。広い意味では、オルニチンは一酸化窒素(NO)の体内での生成をサポートしているとも言えるのではないでしょうか?

また、エネルギーの元になっているATPは、アンモニアによって生成が邪魔されてしまいます。そのため、尿素回路(オルニチン回路)でアンモニアを無毒化して尿素として体外に排出する働きの一環を担っているオルニチンは、体内のエネルギーの生成をスムーズにしていると言えます。

また、アンモニアは疲労物質のひとつですので、アンモニアを無毒化することによって、疲労を軽減しているとも言えます。

ATPとは?

エネルギーの元となるATPとは何でしょうか?少し話がそれますが、ATPについて確認しておくことにしましょう。

ATPとは、アデノシン三リン酸の略称になります。adenosine triphosphateのadenosineのA、triphosphateのT、そしてtriphosphateの最初のPをとってATPと呼ばれています。
因みにATP、医薬品としても使用されています。主に、調節性眼精疲労、消化機能低下による慢性胃炎、心不全の改善に用いられています。

このATPを生成するサイクルとして「クエン酸回路(ATP回路)」というサイクルがあります。このクエン酸回路(ATP回路)は、1937年にクレブス博士によって発見されました。先に説明した尿路回路(オルニチン回路)もクレブス博士によって発見されたサイクルになります。いわゆる人体を維持するために必要なエネルギーを産生するサイクルということになります。

クエン酸回路(ATP回路)について簡単に説明しておくことにしましょう。

食物として取り入れたタンパク質・炭水化物・脂質は、消化・分解されて、アセチルCoAになります。
クエン酸回路(ATP回路)の主要な成分であるクエン酸はこの回路の中で次の様に変化して行きます。
クエン酸→cis-アコニット酸→イソクエン酸→アルファケトグルタル酸→コハク酸→フマル酸→リンゴ酸→オキサロ酢酸に変化して行きます。オキサロ酢酸にアセチルCoAが結びつくことでクエン酸に変化します。クエン酸回路(ATP回路)が稼働することによって、エネルギーが産生されることになります。

クエン酸回路(ATP回路)が順調に機能している場合は、炭水化物が変化したピルビン酸や乳酸を燃焼させてエネルギー、水、二酸化炭素にして、体内を弱アルカリ性に保つことが出来ます。
けれども、クエン酸回路(ATP回路)が上手く機能しなくなってしまう体内にピルビン酸や乳酸が体内に留まることになってしまうと、体内が酸性に傾いてしまって健康が損なわれてしまうようになってしまいます。

また、乳酸は疲労物質のひとつですので、体内に留まり続けることは疲労の蓄積につながることになってしまいます。
アンモニアはATPの産生を妨げると言われていますので、尿素回路(オルニチン回路)が順調に機能されることによって、クエン酸回路(ATP回路)が順調に機能することに寄与していると考えられています。
つまり、オルニチンはクエン酸回路(ATP回路)の機能に対するサポートも行なっていると言えるのではないでしょうか?

オルニチンに期待される作用

それでは、オルニチンにはどんな作用が期待されているのでしょうか?次の様な作用が期待されています。

疲労回復作用

オルニチンには、疲労回復作用が期待されています。
中高年齢者を対象とした試験では、オルニチンを800mg摂取するグループとプラセボを摂取するグループで3週間の摂取を行なった結果、オルニチンを摂取したグループの方がより高い改善率を示していました。

特に「考えがまとめることが困難」と感じていた点に関する改善率はプラセボグループの場合はおよそ4割だったのに対して、オルニチンを摂取したグループの場合はおよそ8割という2倍の改善率となっています。また、「日常生活で立っていることに対する疲労感や辛さ」については、プラセボグループの改善率が6割弱だったのに対して、オルニチンを摂取したグループの改善率はおよそ8割となっています。
これらのデータから、オルニチンには身体の疲労だけでなく脳の疲れも回復する作用が期待出来ることが分かります。

飲酒後の疲労回復

お酒を飲んだ翌日に疲労を感じてしまうことは良くあります。飲酒による疲労は、脳のエネルギー不足が原因になっている場合があります。
脳の主要なエネルギーが「糖」であることはご存知の通りですが、実は脳はエネルギーとして「ケトン体」も使用しています。そして、どちらのエネルギーも肝臓で作られています。

飲酒すると、肝臓内にNADHという物質が増えてしまいます。
NADHとはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドのことで、電子や水素(脱水素酵素の補酵素)を運ぶ役割を担っています。
NADHが増えすぎると、ミトコンドリアの働きを邪魔してしまい、糖やケトン体の産生を阻害してしまうようになります。そのため、脳に必要なエネルギーである糖とケトン体が不足してしまい、脳のエネルギー不足による疲労を感じてしまうようになります。

オルニチンには肝臓の機能をサポートする機能がありますので、飲酒後の疲労回復作用も期待することが出来ます。

運動後の疲労回復と持久力の向上

疲労物質であるアンモニアは、運動中や筋肉やエネルギーを使うことでも発生してしまいます。オルニチンは、アンモニアを無毒化する尿素回路(オルニチン回路)に大きく関与しています。そのためオルニチンを積極的に摂取することで、体内で生成されるアンモニアを無毒化して体外に排出させて、運動後の疲労回復作用に期待出来ます。また、運動能力の持久力の向上も期待することが出来ます。

これらのことを確認するために行なわれた検証結果によると、オルニチンを摂取したグループの運動後の血液中のアンモニア濃度は、プラセボグループの3分の2に留まっていました。また、運動能力の持久力に関しては、男性よりも女性の方が顕著でオルニチンを摂取したグループの低下量は、プラセボグループのおよそ3分の1になっています。因みに男性の場合はおよそ3分の2にでした。

これらのことから、オルニチンには運動後の疲労回復と運動能力の持久力アップが期待出来ると言えます。

成長ホルモンの分泌を促す

オルニチンには、成長ホルモンの分泌を促す作用も期待出来ます。
睡眠直前に試験薬を3日間摂取することで、どのような変化が起こるか検証が行われました。起床直後の尿を検査することで、睡眠中の成長ホルモンの分泌を測りました。その結果、オルニチンを摂取したグループは、尿中の成長ホルモンの相対値が130%なのに対して、プラセボグループは100%で、摂取前と成長ホルモンの分泌に変化がないことが分かりました。
このことから、オルニチンを睡眠直前に摂取することで睡眠中の成長ホルモンの分泌が促される作用が期待出来ると言えます。

精神的ストレスの緩和

現代は、ストレス社会と言われています。ストレスが原因で様々な病気が引き起こされています。精神的ストレスを緩和することが出来れば、様々な体調不良が改善されるとも考えられています。オルニチンには、精神的ストレスを緩和する作用も期待されています。

この作用を確認するために検証が行われました。試験薬を摂取してから1時間後にメンタルストレス(TSST)負荷試験が行われました。
その結果、オルニチンを摂取したグループの唾液中のコルチゾール量は最大でおよそ0.4だったのに対して、プラセボグループは最大で0.6になっていました。どちらのグループも3時間後には0.1になっていました。

また、精神的疲労度は、オルニチンを摂取したグループは翌朝には0になっていましたが、プラセボグループは試験直後の20から16に変化したにとどまりました。
オルニチンは、事前に摂取することで精神的ストレスを緩和することが大いに期待出来ると言えるでしょう。

オルニチンの効果的な摂取方法

それでは、オルニチンを効果的に摂取するにはどうすれば良いのでしょうか?
効果的な摂取方法について確認しておくことにしましょう。目的に応じて違って来ますので目的別にお伝えしましょう。

成長ホルモンの分泌促進

成長ホルモンの分泌を促進することが目的の場合は、睡眠前の摂取が基本になります。
成長ホルモンが分泌しやすい状況は「血糖値が60ml/dl以下」の状況と言われていますが、この状況に当たるのは食後6時間前後と言われています。
また、成長ホルモンが最も多く分泌される時間帯は22時から2時になります。
この二つの要素を満たすことは、忙しい毎日を送っている人にとっては、かなり難しいのではないでしょうか?夕食をなるべく早めに済ませて、就寝直前に摂取するようにするのがベターということになります。

運動後の疲労回復と持久力の向上

運動後の疲労回復と持久力の向上を目的とする場合は、運動前と運動後に接種することをおススメします。アミノ酸は最小単位のものになりますので、体内への吸収は早いと言われていますので、運動前に摂取する場合は30分前位に摂取し、運動直後に摂取することで十分な作用が期待出来ます。

飲酒後の疲労回復

飲酒後の疲労回復が目的の場合は、飲酒前と飲酒後の摂取をおススメします。そうすることで、脳の栄養不足状態の軽減が期待出来ます。

オルニチンを摂取する時には、目的としている出来事の前に摂取することが基本になります。健康維持の目的で摂取される時は、起床直後の空腹時がおススメです。沈黙の臓器と言われている肝臓機能のサポート効果が高いと言われているオルニチンを摂取して、肝臓の健康をサポートしてみてはいかがでしょうか?

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